知っとく!勤怠管理!

勤怠管理に関する耳寄りな情報を随時発信

知っとく!勤怠管理!

健康経営コラム 第3回 中小企業が健康経営に取り組むためのアプローチ

ベンチャー企業は労務リスク管理が後手に回りがちです。正しくリスクを把握しておきましょう。

本記事は一般社団法人社労士サポート協会 代表理事 天野常彦様の
ご協力・監修により掲載しております。

前回は、日本における健康経営の具体的な取り組みについて紹介しました。

2016年春時点ではほとんど大企業でしか取り組みがされていない状況でしたが、2016年夏頃に中小企業向けに健康経営認定制度の導入が予定されています。認定企業には優遇制度が設けられると見込まれているため、それにより多くの企業が「健康経営」を経営課題の1つとするのではないかと予想されています。

とはいえ、現時点ではほとんどの中小企業が健康経営に取り組めていません。前回のコラムは健康経営は中小企業で定着してこそ、日本の課題解消につながるのではないだろうか?という問いかけで終わりました。
※前回 ⇒ 健康経営コラム 第2回 国内の「健康経営」取り組みについて

そこで今回は、中小企業が健康経営に取り組みためのアプローチについて、前回に引き続き一般社団法人 社労士サポート協会 代表理事の天野氏にお話を伺いました。

「日本経済再生本部」の施策

日本経済を救う!?健康経営

2015年、安倍総理大臣を本部長とする「日本経済再生本部」から「日本再興戦略」が発表された。その中で健康経営に関する方針が明示されている。

「健康経営を促進するため、企業規模に応じた、経営者等に対するインセンティブとなる措置を講ずる」と、関係省庁に明示したのである。

これを受けて、経済産業省は商工会議所等と連携して、中小企業等による健康経営の優良事例を収集・公表するため、『健康経営ハンドブック』の作成を決めた。

このハンドブックには、中小企業の健康経営に関する具体的な取り組みを載せることにより、優良事例を広く企業に横展開すると同時に、取り上げられた中小企業には、優良企業としての告知効果に伴うインセンティブがもたらされる事になる。

健康経営アドバイザー制度(仮称)の創設

前出のこの制度は、東京商工会議所が、健康経営の重要性は分かっても、実践するためのノウハウを持たない中小企業の為に、外部の企業経営や人事労務、または従業員の健康に関する知識を持つ人材に対して、「健康経営アドバイザー」の認定資格を創設し、資格取得者は、商工会議所から中小企業に格安な料金で派遣するシステムだと説明している。

現在、この認定資格の評価基準や制度の詳細を、経済産業省と関係者よって検討が進められており、2016年度中には、ある一定の内容が発表される予定になっている。

鍵を握る社会保険労務士

今後、社会保険労務士は企業の「働き方」に深く関わる役割を期待されている

中小企業で健康経営を成功させられるかどうかは、「健康経営アドバイザー」の力量に大いに影響される。そして現在、この「健康経営アドバイザー」に最も相応しい知識を保有し、活躍が期待できる職種として、「社会保険労務士」(以後社労士と略)が挙げられている。

健康経営の根幹が社員の健康推進であるなら、労働法や安全衛生法のスペシャリストである社労士の名が取り沙汰されるのは当然のことかもしれない。

また、社労士の中には「メンタルヘルス」や「職場改善」を主業務とする事務所も出始めている事を考えれば、「健康経営アドバイザー」として社労士を選択することが、健康経営を成功させる鍵と言えるだろう。

社労士のイメージ

健康経営にとって重要な役割を果たす社労士だが、一般的なイメージはあまり良いとは言えない。むしろ経営者側に立って、社員を追いつめるイメージの方が強い。これはTVドラマの影響や、ニュースで報じられた“社員をうつ病に罹患させる方法”など、一部の社労士の行き過ぎた言動によるもので、本来は労使の垣根を取り外し、労使が協力して業績向上へと一致団結させる役割を担っている。

確かに、顧客の少ない社労士にとっては、顧問料を支払う経営者の意識一つで、スタンスを変えざるを得ない状況も理解できる。それは、経営者自身が健康経営のメリットが理解できず、社員のリストラがコスト低減の特効薬だと思い込んでいるところに原因がある。

こういった経営層と対峙するには、一人ひとりの社労士の力はあまりにも弱い。

これからの課題への対応

今後、社会保険労務士は企業の「働き方」に深く関わる役割を期待されている

健康経営には社労士のスキルが現実に役立つものではあっても、経営者がそれを認識できずに、社労士は“入退社手続の業務代行”だとか“社員を上手く辞めさせるコンサルタント”などのような見方をしていれば、健康経営のサポートはできない。

経営者に健康経営のメリットを説きながら、本来の社労士の役割を伝えていくことが必要になるが、日々の業務をこなしながらの社労士が個人で行う活動には限界もある。

そこで、広く経営者に対して、社労士本来の業務理解を求める活動や、社労士の健康経営の導入手法やコンサルティングレベルを一定に保つための、社労士に対する支援機関が必要なのではないかと考えた。

それを誰が行うのかという問題もある。社労士には既に組織化された団体も存在するのだから、そこで行えば良いのだが、現段階ではそのような支援活動は行われていない。

であれば、必要を感じた人間が始めれば良いのかもしれない。私自身が元経営者として、社労士業務の有用性を体験した者であり、他の経営者に伝える事が自分の責務でもあると感じている。

最後に

このコラムが掲載される頃は、『一般社団法人 社労士サポート協会』が立ち上がっている頃かもしれない。多くの社労士が集まり、健康経営を始め、中小企業の経営サイドへ、新たなインセンティブを作り出す組織、また社労士自身の研鑽の場とし、経営者のパートナーとしての資質を高めていく。

そんな新しい組織が、経営者と社労士の橋渡し役となり、健康経営推進の一端を担えれば望外の喜びである。


いかがでしたか?
「健康経営」をテーマに3回にわたって一般社団法人社労士サポート協会 天野代表理事にお話をお伺いしました。

今後、企業には従業員の健康維持・改善を促進する役割を期待されている

「健康経営」というと目新しい言葉のように感じます。しかし健康経営の目的や概念の背景を見てみるとブラック企業や長時間労働、少子高齢化社会による医療費の増大就業人口の減少、そして企業の人的生産性の向上などのかなり以前から問題視されていたキーワードが並ぶのに気が付きます。これまでこういった問題については個人で自衛するしか方法がなく、企業として何かに取り組むということはあまりされていませんでしたが、いよいよ問題が大きくなりつつあるこのタイミングで、政府も対策を講じる必要が発生し、その方法の1つが「健康経営」という概念を企業に協力してもらいながら広めるということだと言えそうです。

健康経営による会社の経営メリットは未知数ですが、健康経営先進国のアメリカでは健康経営実施企業の方が成長率が高かった、という調査結果が出ているのは心強い限りです。また、実際に休職者が出てしまった事業所は、社員の健康管理は何よりも重要だと気付いていたのではないでしょうか。そういった環境を作らないようにするためにも、健康経営は必要だと言われています。

天野氏曰く、日本企業の99%は中小企業で、そのほとんどの企業が現状では健康経営を実施していない状況だそうです。やりたいと思っていても実施するためのノウハウがなく、闇雲に実施しても具体的な施策と評価ができないために計画が頓挫してしまうのが理由だそうです。

そこで健康経営を課題とする企業・経営者に対してサポートする機関が必要だと考え、創立したのが「一般社団法人 社労士サポート協会」です。

社労士サポート協会では社労士自身が企業や経営者により添って共に経営課題についてサポートできるように育成を行なうと同時に、健康経営について良きアドバイザー・理解者を求める企業には、地域や業種などをヒアリングした上でご希望にあった社労士をご紹介する仕組みを設けているとのことです。

一般社団法人社労士サポート協会 代表理事 天野氏
一般社団法人社労士サポート協会 代表理事 天野常彦氏 プロフィール

元・オリンパスソフトウェアテクノロジー代表取締役社長。1977年から外資系コンピュータメーカー、大手システムインテグレータにてシステム構築に従事。その後、外資系コンサルティングファームにて経営管理に関するコンサルティングを担当し、2005年にオリンパスグループに転職、2006年から2012年までオリンパスソフトウェアテクノロジー社長を務める。2012年10月より、天野メンタルコンサルティング代表。2012年11月より、一般社団法人 産業保健法務研究研修センター 専務理事。(2015年より特別アドバイザー※現名称は一般社団法人産業保健法学研究会)2016年4月に一般社団法人社労士サポート協会を設立。

  • 「メンタルサポートが会社を変えた!」共著 創元社
  • 「メンタルヘルス担当者奮闘記」ストーリーで解かる正しい現場対応 日本法令
  • 主な出演掲載に、NHK「Bizスポ」、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」、朝日新聞、日経ビジネス、
    東洋経済、労政時報、安全スタッフ、他
勤怠管理システム『タッチオンタイム』のお問い合わせはこちら
勤怠管理システムタッチオンタイムへのお問い合せはこちら
勤怠管理システムタッチオンタイムの30日無料トライアルのお申込はこちら
ページの先頭に戻る