社労士がコッソリ教える! 増え続ける人件費。「無駄」を削減する3つのポイント
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本記事は内藤社会保険労務士事務所 内藤所長のご協力・監修により掲載しております。
近年、少子高齢化による若年層の人口低下により、世界的に「労働力人口」の減少が予想されており、日本も例外ではありません。これは純粋に労働力の低下に直結し、今後企業では従業員の確保が厳しくなるとも予想されています。最近でも、仕事の依頼はあるのに従業員が不足しているため、受注できずに倒産した企業などを耳にすることがあります。今後はそのような状況が、より顕著になると考えてよいでしょう。
これにより、企業ではよい人材を確保することや、テレワーク、女性や外国人の雇用推進、多様な雇用形態を採用するなどの動きが活発になると言われています。そこで年々増加傾向にあるのが「人件費」です。今後、日本の雇用市場は売り手市場に偏りつつ有り、どの企業でも人材を確保したいがために、人件費は増加すると考えられています。
そこで今回は人件費に関する「無駄」を削減するための3つのポイントをご紹介したいと思います。
1.助成金を活用する
皆様の企業では、何か助成金制度を利用していますか?
そもそも助成金とは、返済義務のある融資とは異なり、返済不要の政府から交付される給付金のことで、 給付を受けることができれば返済する必要はなく、そのまま会社の純利益となります。(給付には一定の条件があります)
雇用に関する助成金は厚生労働省の管轄ですが、様々な助成金が用意されているのをご存知でしょうか? 助成金の給付には従業員を新たに雇い入れる場合の助成金や従業員の処遇や職場環境の改善を図る場合の助成金、仕事と家庭の両立に取り組む場合の助成金など、様々な種類の助成金が用意されているため 知らず知らずに自社で行われていた雇用が助成金の対象だった、ということがあるかもしれません。
今後、従業員増強を予定している企業は、助成金の内容を確認してみるといいかもしれませんね。
2.「事前確定届出給与」を使って役員の社会保険料を削減する
「事前確定届出給与」をご存知の人事・総務部のご担当者様は少ないと思います。実は、社労士ですらこの仕組を知っている人間はそれほど多くありません。というのも、これは税務に絡む仕組みだからです。ですので、知っているのは税理士などでしょう。今回はこの仕組みを使った、ちょっとしたノウハウをお話ししちゃいます。
少々難しい話なので、極端な例でご紹介します。
企業では、来年度分の毎月支払いの「役員報酬」及び、決められた回数支払う「役員賞与」を事前に申告する必要があります。極端な話ですが、本来なら役員報酬を100万円/月を予定している場合、年間の総支払額は1,200万円になります。これを、10万円/月と申告してください。そして、「役員賞与」を1,080万円、と申告してください。そうすると、どちらの場合も役員報酬と役員賞与の合計額は1,200万円になります。
ここでポイントとなるのが、「賞与にかかる社会保険料には上限額が設定されている」という点です。その結果、トータルの支払額が抑えられる、というカラクリです。
税法上問題ないか不安な方も多いかと思いますが、何人もの税理士に確認した結果「問題なし」のお墨付きでした。
しかし、これを実行するには、他にもちょっとした「コツ」がありますので、もし興味がございましたら、内藤社労士のWebサイトにアクセスして、直接お問い合わせください。
3.時間管理を行い無駄な残業代などを発見・削減する
必要な残業代の支給は当然ですが、どこかに「無駄」は隠れていませんか?これまで従業員の勤怠時間管理を行っていなかった企業が、勤怠管理システムを導入すると、それだけで残業代が目減りした…。なんて事例もあったりします。これは従業員が自分の働き方を「見られている」と意識したため、自ら無駄を削減することに繋がった好例と言えるでしょう。
勤怠管理システムを導入するのもよいですが、まずはこんなことを意識してみるだけで、無駄が削減できるかもしれませんので、ぜひ実施してみましょう。
分業化してしまう(スペシャリストの育成)
分業化で作業効率・生産性を向上させましょう。担当者は一つの業務に集中できるため、業務のコツを早期に習得することができます。その結果、品質が向上したり、作業のスピードもあがったりと、生産性が向上します。
機械化してしまう(オートメーション化)
誰にでも出来る仕事は、いっそのこと機械に任せてしまったほうが良いでしょう。もしタイムカードの集計が大変なら勤怠管理システムを導入、給与計算が大変なら社労士やペイロールを頼るなど、外注化も当てはまります。
業務にチェックリストを作る
業務作業で頭を悩ませる時間が短くて済みます。また、分業化のデメリットである急な担当者の退職などでも、チェックリストがあれば抜け漏れ無く引継ぎすることができます。
残業する時間を減らし、家族と過ごす時間を増やす、自己成長のためのスキルアップに使う、趣味のために時間を使う、など自身のために時間を使い、プライベートな時間を充実させることで、モチベーションアップに繋がり、引いては日中業務に打ち込め、生産性の高い業務がこなせるなどの効果も期待されています。
人件費に関する「無駄」削減の3つのポイント、いかがでしたでしょうか?インターネットという、誰でも閲覧可能な環境での記事のためご紹介しやすい部分だけお見せしていますが、セミナーなどにご参加いただければ、更に詳しいノウハウをご紹介することも可能です。
「労働力人口」の低下は、どんな企業でも直面する大きな課題になりそうです。内藤社労士曰く、今回ご紹介した人件費に関するコスト削減3つのポイント以外にも、採用に関するコスト削減ノウハウ、退職者を出しにくくするポイントなどがありますので、興味のある方はお気軽にご相談ください。
※掲載情報は2015年3月時点の情報です
社労士 内藤 剛識 プロフィール
内藤社会保険労務士事務所 所長 / 株式会社BE HAPPY 代表取締役
1976年生まれ。神奈川県出身。平成11年に社会保険労務士試験に合格。経営コンサルタント会社に就職し全国の中小企業約5,000社に対して人事・労務・法務をはじめ、売上アップや従業員のやる気アップのための仕組みを提供。中小企業向け各種セミナーの講師なども務める。
平成16年に内藤社会保険労務士事務所を立上げ。 通常の社労士業務はもちろん、感情を刺激する独自の人材教育、売上アップ・業務効率化の具体策を 企画提案・実行しており、企業のヒトに関する総合的な指導を行っている。 また、幼少期から始めるビジネススクール「成功企業家育成塾」をはじめ、 社会保険労務士の育成のための開業塾などを開催予定。