勤怠管理の不正・改ざんを防ぐには?よくある手口や対応手順、予防方法を解説
働き方改革

公開日:2025年8月21日
こんにちは。シェアNo.1クラウド勤怠管理システム「タッチオンタイム」のコラムチームです。
勤怠管理の不正や改ざんを放置することは、法的な罰則や人件費の無駄遣いを招き、企業の経営基盤を揺るがす恐れがあります。この記事では、不正の手口から発覚時の対応、そして勤怠管理システム導入などの予防策を解説します。不正を未然に防ぎ、健全な組織を築きましょう。
- 勤怠改ざんの主な手口と法的リスクの把握
- 不正発覚時の対応ステップと懲戒処分の判断軸
- 勤怠不正による企業の損失と職場モラルへの影響
- 勤怠システム導入や研修による再発防止の実現
目次
勤怠管理の不正・改ざんとは
勤怠管理の不正・改ざんとは、従業員や使用者が労働時間を偽って記録・申告することです。従業員が給与を水増し請求するケースのほか、企業側が労働基準法の上限規制や罰則を逃れる目的で従業員に実態と異なる時間を記録させるケースなどがあります。
また、業務が終わらないため、従業員が自主的に労働時間を改ざんすることもあるでしょう。こうした不正は企業の正確な勤怠把握を妨げるだけでなく、長時間労働による労災や法律違反にもつながる重大な問題です。
勤怠管理の不正・改ざんでよくある3つの手口
勤怠管理の不正・改ざんには、おもに3つの手口があります。ここでは、それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。
1. 自己申告の虚偽・改ざん
自己申告制の勤怠管理では、従業員自身による労働時間の虚偽・改ざんが起こりやすいです。
例えば、紙のタイムカードに二重線を引いて退勤時間を書き換えたり、Excelの打刻データを後から変更したりする手口が挙げられます。手書きやパソコンでの入力が簡単な分、不正を行うハードルが低く、労働時間を偽って申告されるリスクが高まります。
2. タイムカードの代理打刻
タイムカードは本人以外でも打刻できるため、同僚に代理で打刻を依頼する不正が発生します。例えば、遅刻しそうなときに定時で打刻してもらったり、先に退勤しているのに残業中の同僚に打刻を頼んだりするケースです。本人が実際に勤務していなくても打刻できるため、実際の労働状況と異なる虚偽の記録が作られてしまいます。
3. 残業代の水増し請求
実際の労働時間より長く申告して、残業代を不正に請求する手口です。上司と部下が共謀して架空の残業を申請するケースや、申請制の仕組みを悪用して個人的に時間を水増しするケースなどがあり、企業の金銭的損失に直結する悪質な不正行為といえるでしょう。
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勤怠管理の不正・改ざんに関わる法律
勤怠の不正・改ざんは、労働基準法はもちろん、刑法や民法上の責任を問われることもあります。
労働基準法
労働基準法では、勤怠管理の責任は企業にあると定められています。そのため不正・改ざんがあった場合、時間外労働の上限超過や割増賃金の未払いなどで罰せられるのは使用者側です。改ざんした従業員は直接罰せられませんが、就業規則違反として減給や降格などの懲戒処分の対象となり得ます。
参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索
刑法
従業員が勤怠を改ざんして給与を不正に多く受け取る行為は、他人を欺き財産を得る「詐欺罪」に該当する可能性があります。詐欺罪が成立した場合、最大で10年の懲役または50万円以下の罰金が科されることもあり、打刻の不正だからといって軽視できない重い犯罪です。
参考:刑法 第二百四十六条| e-Gov 法令検索
民法
勤怠を改ざんして過大な給与を受け取った場合、民法上の責任も問われ、法律上の原因なく他人の財産(会社の資金)から利益を得る「不当利得」にあたります。特に不正を認識していた「悪意の受益者」と見なされ、不正に得た賃金に利息を付けて返還する義務を負います(民法第704条)。
参考:>民法第七百四条 | e-Gov 法令検索
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勤怠管理の不正・改ざんによる企業側のリスク
勤怠管理の不正や改ざんが横行すると、企業には法律違反以外にも、次のような深刻なリスクが発生します。
職場のモラルが低下する
勤怠管理の改ざんを見過ごすと、「これくらいなら許される」という空気が職場に蔓延し、不正が常態化します。やがて遅刻や早退が増え、申請業務も疎かになるなど職場全体の規律が緩む原因になるでしょう。真面目に働く従業員の意欲も削がれ、結果として組織全体のモラルが著しく低下する恐れがあります。
優秀な従業員が離職する
勤怠管理の改ざんが放置されると、真面目な従業員ほど不公平感から仕事への意欲を失います。正当に評価されない環境に失望し、より良い労働環境を求めて優秀な人材が離職する要因となります。結果的に、組織全体の生産性が低下しかねません。
無駄な人件費がかかる
従業員が遅刻をごまかしたり、働いていない時間を残業として申告したりする勤怠改ざんは、無駄な人件費を発生させます。こうした不正請求により過剰な賃金の支払いが生じると、人件費は高騰するでしょう。企業の経営を圧迫し、存続に影響を及ぼす恐れもあるため、対策が不可欠です。
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勤怠管理の不正・改ざんをした従業員への対応手順
従業員の不正が発覚したら、冷静な対応が不可欠です。具体的な手順を3つのステップで解説します。
1. 事実確認と証拠の確保
勤怠管理の不正が疑われる場合、まずは事実を客観的に立証するための証拠集めが不可欠です。オフィスの入退室記録や防犯カメラ映像などを確保しましょう。その上で本人にヒアリングを行いますが、後々のトラブルを避けるため、第三者の同席や録音も有効です。
2. 懲戒処分(懲戒解雇)の検討
事実確認後、就業規則に基づき懲戒処分を検討します。特に懲戒解雇は最も重い処分であり、認められるには「悪意の有無」「不正の期間」「明確な証拠」などが問われます。安易な判断は不当解雇のリスクを伴うため、会社の管理体制に不備がないかを確認し、弁護士に相談するなど慎重に進めましょう。
3. 過払い給与の返還請求
勤怠管理の改ざんにより生じた過払い賃金は、法律上の「不当利得」にあたるため、企業は従業員に返還を請求できます。まずは本人と話し合い、返還額や方法について合意を目指しましょう。就業規則に不正受給分の返還に関する規定を設けておくと、よりスムーズな対応が可能です。
懲戒解雇が難しい場合の対処法
勤怠管理の不正があっても、懲戒解雇が認められないケースがあります。会社側が不正を知りながら放置したり、適切な指導を怠ったりした場合、管理責任を問われ解雇が無効になる可能性があるでしょう。また、従業員の悪意が明確でなかったり、不正が短期間だったりする場合も同様です。
このような状況では、懲戒解雇ではなく、適切な手順を踏んで「退職勧奨」を行うことが有効な対処法となります。処分の妥当性については、事前に弁護士などの専門家に相談し、慎重に判断しましょう。
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勤怠管理の不正・改ざんを予防する方法
不正や改ざんを未然に防ぐには、どのような対策が有効なのか、具体的な方法を4つ紹介します。
労働環境や人事評価を見直す
従業員による給与の水増し請求を防ぐには、企業が労働に見合った賃金を支払う人事評価制度を導入する必要があります。また、過大な業務量による長時間労働が、法律違反を隠すための改ざんにつながることもあります。適正な業務配分や人員配置を行い、従業員が不正をしなくても済む労働環境を整えることが、改ざんの根本的な予防策となるでしょう。
就業規則に罰則規定を明記する
就業規則に、勤怠管理の改ざんが不正行為であることと、それに対する罰則を具体的に定めましょう。減給や降格といった懲戒処分を明記すれば、不正の抑止力となります。また、規定は研修などを通じて従業員に周知し、ルールへの理解を深めてもらうことが大切です。
コンプライアンス研修で意識を高める
「このくらいなら大丈夫」という軽い気持ちや、長時間労働を隠したいという心理から不正は起こりがちです。コンプライアンス研修を実施し、勤怠管理の改ざんが懲戒処分の対象となる違法行為であり、会社に損害を与える重大な問題であることを周知徹底させましょう。全従業員の規範意識を高め、不正を許さない組織風土を醸成することが重要です。
勤怠管理システムを導入する
勤怠管理システムの導入は、不正・改ざんの防止に有効です。パソコンやスマートフォン上でのクリック打刻、専用リーダーを使用したICカード・生体認証による打刻は、客観的な記録が残るため、代理打刻や時刻の改ざんを防ぎます。
また、従業員の勤務状況をリアルタイムで把握できるため、サービス残業といった不正の早期発見にもつながるでしょう。手作業での記録・集計をなくすことで、意図的な改ざんが困難な環境を構築し、正確な勤怠管理を実現します。
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まとめ
勤怠管理の不正・改ざんの予防には、勤怠管理システムの導入や就業規則の見直し、コンプライアンス研修による意識向上が有効で、不正を許さない体制構築が重要です。
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顔認証や指紋認証などの生体認証や、日頃お使いの交通系ICカードや電子マネーカードが使用できるICカード認証に対応している打刻方法に対応しているため、仕組み上、不正打刻がしにくい勤怠環境を整えられます。
また追加費用なしで電話による問い合わせが可能で、専属のサポート担当も付くのでシステム導入に不安がある場合も安心してご導入できます。
ご不明な点がございましたら、下記リンクよりお気軽にお問合せください。
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- この記事の執筆者
- 株式会社デジジャパン「タッチオンタイム」コラムチーム
- 受賞歴:「BOXIL SaaS AWARD Spring 2025」勤怠管理システム部門
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