残業60時間超は危険?違法ラインや割増賃金、企業リスクを解説
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公開日:2026年7月7日
こんにちは。シェアNo.1クラウド勤怠管理システム「タッチオンタイム」のコラムチームです。
月60時間の残業は、原則として違法です。労働基準法に定められた上限規制を超えており、企業には深刻なリスクが伴います。本記事では、月60時間残業の違法ラインや、割増賃金率50%の適用、企業が抱えるリスクと対応策について詳しく解説します。
- 月60時間超の残業が違法となる条件と、特別条項で適法となるための上限ルール
- 月60時間超に適用される割増賃金率50%の仕組みと計算方法
- 法的ペナルティ・健康障害・未払い請求など、長時間残業が企業にもたらすリスク
- 事前申告制の導入や勤怠管理システムの活用など、残業時間削減に向けた対応策
月60時間の残業は違法?
月60時間の残業は、原則として違法です。ただし、一定の条件を満たすことで適法となる場合もあります。まずは、残業に関する法律上の上限を確認しましょう。
原則として残業は「月45時間・年360時間」が上限
労働基準法第36条に基づく時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。使用者が労働者に時間外労働をさせるためには、労働組合または労働者の過半数代表者との間で、いわゆる「36協定」を締結・届出する必要があります。この上限を超えた時間外労働は、法律違反となります。
月60時間の残業は、原則の上限である月45時間をすでに超えているため、通常の36協定のみでは認められません。
月60時間の残業が「適法」となるための必須条件(特別条項)
月60時間の残業には、36協定の「特別条項」が必要です。導入後も以下の上限規制を全て遵守しなければなりません。
- 年720時間以内
- 月45時間超は年6回まで
- 休日労働を含め単月100時間未満かつ複数月平均80時間以内
これらを満たせば、月60時間の残業を年6か月まで行わせることは可能です。ただし「月60時間なら無条件で6か月OK」というわけではありません。
注意点は2つあります。1つ目は、単月100時間未満・複数月平均80時間以内は「休日労働を含めた合計」で判定される点です。たとえば、時間外60時間+休日労働25時間=85時間の月が続くと、2か月平均が80時間を超え違法になります。
2つ目は、2〜6か月平均はその6か月の中だけでなく、前の月(前の協定期間も含む)の実績も合わせて計算する点です。直前の数か月の残業が多ければ、月60時間の月であっても直近の平均が80時間を超えて違法になり得ます。
つまり、月60時間が適法になるのは、休日労働を足した実際の月合計と、前後をまたぐ2〜6か月平均まで含めて、上記の上限をすべてクリアできる場合に限られる点に注意しましょう。
特別条項があっても遵守しなければならないポイント
特別条項付き36協定を締結していても、適用できるのは「臨時的な特別の事情」がある場合に限られ、常態的な使用は認められません。また、企業には医師による面接指導など労働者の健康確保措置を講じる義務があります。
これら上限規制に違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
月60時間超で「割増賃金率が50%」に
月60時間を超える時間外労働には、通常の割増率よりも高い50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。この点を正しく理解しておくことが企業にとって重要です。ここでは、法改正の背景や対象者について詳しく解説します。
割増賃金率が引き上げられた法改正の背景
月60時間超の時間外労働に対する50%以上の割増賃金率は、2010年4月の労働基準法改正により導入されました。当初は大企業のみに適用され、中小企業は猶予されていましたが、2023年4月1日からは中小企業にも適用が拡大されています。
この改正の背景には、長時間労働の抑制と、過重労働による健康障害の防止という目的があります。高い割増率を設けることで、企業が時間外労働を抑制するよう経済的インセンティブを与える狙いがあります。
※参考:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
割増率50%の対象となる労働者
割増率50%の適用対象は、法定時間外労働が月60時間を超えた部分です。ここでいう「法定時間外労働」とは、1日8時間・1週40時間を超える労働を指します。所定労働時間を超えていても法定労働時間内であれば、対象にはなりません。
また、管理監督者や裁量労働制が適用される労働者であっても、深夜労働に対する割増賃金の支払いは必要です。一方で、みなし労働時間制が適用される労働者については、実際の労働時間ではなく、みなし時間を基準に判断します。
深夜労働・法定休日労働が重なった場合の割増率
「深夜労働」と「法定休日労働」が重なった場合、それぞれの割増率が合算されます。法定休日労働の割増率は35%以上、深夜労働(午後10時〜午前5時)の割増率は25%以上です。そのため、法定休日の深夜時間帯に労働させた場合は、双方が重複適用され60%以上の割増賃金の支払いが必要です。
なお、法定休日労働には「時間外労働(残業)」の概念がないため、8時間を超えても割増率は一律60%(深夜帯以外は35%)となります。
賃金支払いの代わりに与えられる「代替休暇」制度
月60時間を超える時間外労働について、企業は割増賃金の支払いに代えて代替休暇を付与することができます。代替休暇とは、引き上げ分の割増賃金(25%分)の支払いに代えて、有給の休暇を与える制度です。
代替休暇を導入するためには、労使協定の締結が必要であり、かつ労働者本人の意思確認も必要です。労働者が代替休暇の取得を希望しない場合は、通常どおり割増賃金を支払わなければなりません。代替休暇の取得可能期間は、時間外労働が行われた月の末日翌日から2か月以内とされています。
残業代の具体的な計算例

割増賃金の計算方法を正しく理解しておくことで、未払いリスクを防ぐことができます。ここでは、具体例を挙げて計算方法を解説します。
残業代を求める基本の計算式
残業代の基本的な計算式は以下のとおりです。
1時間あたりの基礎賃金は、月給制の場合、以下の計算式で求めます。
割増賃金の計算のベースとなる「基礎となる賃金」には、役職手当などの職務関連の手当を含める必要があります。ただし、通勤手当、家族手当、住宅手当など法律で定められた一部の手当については、計算から除外することが認められています(労働基準法施行規則第21条)。
給与別の残業代シミュレーション
月給30万円・所定労働時間160時間の労働者が、月70時間の時間外労働を行った場合を例に計算します。
- 1時間あたりの基礎賃金:300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円
- 最初の60時間分(25%割増):1,875円 × 1.25 × 60時間 = 140,625円
- 60時間超の10時間分(50%割増):1,875円 × 1.5 × 10時間 = 28,125円
- 合計残業代:168,750円
同じ70時間でも、50%割増の適用がなかった場合(全て25%割増)は164,063円となるため、差額は168,750−164,063=4,687円です。月の残業時間が増えるほど、この差額は大きくなります。
月60時間超えがもたらす企業リスク
月60時間を超える残業が常態化している企業には、法的・経営的な深刻なリスクが生じます。ここからは、企業リスクを3つの観点で解説します。
労働基準監督署からの是正勧告とペナルティ(罰則)
長時間労働が疑われる企業には労基署の立入調査が実施され、違反があれば是正勧告や改善報告が求められます。これを無視するなど悪質な場合は送検され、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」という刑事罰が科されかねません。
さらに、企業名が公表され、いわゆる「ブラック企業リスト」に掲載されれば、採用活動やブランドイメージに致命的な打撃を受けるリスクもあります。
※参考:長時間労働が疑われる事業場に対する令和6年度の監督指導結果を公表します|厚生労働省
従業員の健康障害と安全配慮義務違反(労災・うつ病)
月60時間超の残業は、脳・心臓疾患や精神障害のリスクを大幅に高めます。過労死ラインの月80時間未満であっても、健康への悪影響は否定できません。会社は法律上、従業員の安全配慮義務を負っています。
そのため、長時間労働で従業員がうつ病や過労死に至った場合は労災と認定される可能性が高く、企業側が義務違反として多額の損害賠償責任を問われる重大なケースに発展しかねません。
「名ばかり管理職」や「固定残業代」の不適切運用による未払い請求
長時間労働の常態化は、労務制度の不適切な運用を浮き彫りにします。裁量権や相応の処遇がない「名ばかり管理職」として扱っていた場合、過去にさかのぼって未払い残業代を請求される法的リスクが生じます。
また、固定残業代制を導入していても、実際の残業が想定時間を超えた分は追加支給の義務があるため、実態が伴っていなければ、のちに多額の未払い残業代が一挙に噴出するリスクをはらんでいます。
企業が今すぐ取り組むべき対応策
月60時間超の残業リスクを未然に回避するためには、具体的な対策を今すぐ実行することが重要です。ここからは、実効性の高い3つの対応策を紹介します。
事前申告・許可制の徹底による「ダラダラ残業」の禁止
残業削減には、上司の承認を必須とする「事前申告・許可制」の導入が有効です。「なんとなく帰りにくい」といった雰囲気から生じる非効率なダラダラ残業は、不要な労働時間を増やす原因となります。
事前に残業の必要性を双方が確認し合う仕組みを整えれば、業務の優先順位付けや効率化への意識が高まるだけでなく、国が推奨する「適正な労働時間管理」の実現にもつながります。
ノー残業デーの設定と「帰りやすい雰囲気」の醸成
週1日以上の「ノー残業デー」設定は、長時間労働の抑制に効果的です。一斉消灯などで定時退勤を促す職場風土を作るには、まず管理職が率先して帰ることが欠かせません。この取り組みを通じて業務を前倒しする習慣が定着すれば、日常的な生産性の向上も期待できます。
単なる掛け声に終わらせないよう、実施状況を定期的に確認・評価するPDCAサイクルを回すことが重要です。
勤怠管理システムの導入による「リアルタイム把握」
長時間労働を防ぐ有効な手段が、勤怠管理システムの導入です。労働時間をリアルタイムで可視化できれば、月60時間超に達しそうな従業員を事前に検知し、先手を打って業務調整を行えます。
基準超過時の自動アラート機能を設定すれば、見落としを防げます。従来の紙やエクセル管理に比べ、集計業務の自動化により正確かつ迅速な労務管理が可能になるでしょう。
まとめ
月60時間超の残業は原則違法で、特別条項があっても上限規制の遵守が必要です。さらに、中小企業も含め割増賃金率が50%となるため、人件費高騰の注意も要します。こうした法的ペナルティや健康障害、未払い請求などの深刻なリスクを防ぎ、労働時間をリアルタイムに把握するには、信頼できるシステムの活用が欠かせません。
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- この記事の執筆者
- 株式会社デジジャパン「タッチオンタイム」コラムチーム
- 受賞歴:
- 「ITreview Grid Award 2026 Spring」勤怠管理システム部門 最高位「Leader」
- 「ITreview The Best Software in Japan 2026」TOP100ランクイン
- 「BOXIL SaaS AWARD Spring 2025」勤怠管理システム部門
- ITトレンド Good Productバッジ 2022











