時間単位の有給休暇とは? 年5日の上限や導入方法、企業側の注意点を解説
タッチオンタイムの紹介
公開日:2026年10月30日
こんにちは。シェアNo.1クラウド勤怠管理システム「タッチオンタイム」のコラムチームです。
有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、ゆとりある生活につなげるために設けられた制度です。しかし、かつては年休の取得率が5割を下回る状況が続き、まとまった休みを取りにくいことも課題となっていました。
こうした状況や時間単位で取得したいというニーズを受け、2010年に時間単位で有給休暇を取得できる仕組みが導入されています。制度自体は知っていても、具体的なルールまで把握できていない担当者もいるでしょう。
この記事では、時間単位の有給休暇の基本ルールやメリット、企業側の注意点、導入の流れを分かりやすく解説します。
- 時間単位の有給休暇の基本ルールと年5日の取得上限
- 制度を導入することで得られる従業員と企業それぞれのメリット
- 取得時間や残日数の管理方法と運用上の注意点
- 労使協定の締結から就業規則の変更、運用開始までの具体的な手順
時間単位の有給休暇とは年休を1時間単位などで取得できる制度
年次有給休暇は1日単位で取得するのが原則ですが、時間単位の有給休暇を導入すれば、1時間や2時間などの単位でも取得できます。まとまった休みだけでなく、通院や育児、介護など短時間の用事にも年休を使いやすくする仕組みとして設けられました。
ここでは、導入義務の有無と取得できる日数の上限について解説します。
時間単位の有給休暇に法的な導入義務はない
時間単位の有給休暇は、全ての企業に導入が義務付けられている制度ではありません。導入するかどうかは企業が判断でき、導入する場合は労使協定の締結が必要です。
さらに、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、時間単位で年休を取得できる旨を就業規則に定める必要があります。従業員から要望があっても、事前に労使協定を締結せずに時間単位で付与することはできません。
労働基準法上の時間単位年休の上限は年5日
時間単位で取得できる年次有給休暇は、労働基準法により1年につき5日以内と定められています。たとえば、1日の所定労働時間が8時間で、労使協定で上限を5日とした場合、最大40時間分を時間単位で取得できます。
前年度から年休を繰り越していても、時間単位で取得できるのは繰越分を含めて年5日以内です。残りの年休まで時間単位で取得できるわけではない点に注意しましょう。
時間単位の有給休暇を導入するメリット
時間単位で有給休暇を取得できるようになると、従業員が予定に合わせて休暇を使いやすくなります。ここでは、従業員と企業それぞれのメリットを解説します。
従業員は通院や育児などに合わせて柔軟に休暇を取得できる
時間単位の有給休暇があれば、1日休むほどではない予定にも年休を活用できます。たとえば、午前中に通院してから出勤したり、子どもの送迎に合わせて早めに退勤したりする使い方が可能です。
必要な時間だけ取得できるため、残りの時間を勤務に充てられ、仕事と私生活の予定を調整しやすくなります。
企業は従業員の働きやすさを高めやすくなる
時間単位の有給休暇を導入すると、従業員の事情に合わせた柔軟な休み方を用意できます。通院や育児、介護などで数時間だけ休みたい場合にも対応できるため、仕事との両立を支援しやすくなります。
休暇の選択肢を増やせれば、従業員が働き続けやすい職場づくりにつなげることも可能です。
時間単位の有給休暇を導入する際の企業側の注意点

時間単位の有給休暇は双方にメリットがある一方、管理や人員配置が複雑になる場合があります。また、取得上限など法令上のルールにも注意が必要です。
有給休暇の残日数や取得時間の管理が複雑になる
時間単位の有給休暇を導入すると、年休を「日数」だけでなく「時間数」でも管理する必要があります。たとえば、1日8時間勤務の従業員が2時間取得した場合、残りの年休を日数と時間に分けて正確に記録しなければなりません。
従業員ごとに取得状況が異なるため、手作業で管理すると計算ミスや残数の把握漏れにつながる可能性があります。勤怠管理システムなどで一元管理できる体制を整えることが重要です。
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時間帯によっては人員配置やシフト調整が難しくなる
時間単位で休暇を取得する従業員が増えると、時間帯によって必要な人数を確保しにくくなることがあります。たとえば、接客や製造など一定数の人員が必要な職場で、始業直後や終業前に取得が集中すると、ほかの従業員への負担が増えかねません。
業務量や繁忙時間帯を事前に確認した上で、申請期限やシフト調整の方法など、現場で無理なく運用できるルールを決めておく必要があります。
業務の引き継ぎや情報共有が増える場合がある
時間単位の有給休暇では、勤務の途中で出退勤するケースが増えるため、業務の引き継ぎや情報共有が発生しやすくなります。たとえば、担当者が午後に2時間休む場合、顧客対応や進行中の作業を別の従業員へ共有しておく必要があります。
引き継ぎ方法が決まっていなければ、対応漏れや業務の停滞につながりかねません。共有ツールや担当者の代替ルールをあらかじめ整えておくことが大切です。
有給休暇を繰り越しても時間単位で取得できるのは年5日まで
前年度から未消化の有給休暇を繰り越していても、時間単位で取得できる法定の年次有給休暇は、繰越分を含めて1年間に5日以内です。
たとえば、前年度分を10日繰り越し、当年度に20日付与されて合計30日ある場合でも、その全てを時間単位で取得できるわけではありません。労使協定で定めた範囲内かつ年5日以内で管理し、残りは時間単位以外の方法で取得することになります。
時間単位で取得した分は「年5日の有給取得義務」に含まれない
時間単位で取得した有給休暇は、使用者に義務付けられている「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の日数には含められません。
たとえば、年10日以上の有給休暇が付与される従業員が時間単位で合計40時間取得しても、それだけで年5日の取得義務を満たしたことにはなりません。企業は時間単位年休とは別に、対象者が1日単位または半日単位で必要な日数を取得できているか確認する必要があります。
所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は切り上げて換算する
1日分の時間数を決める際、所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は、時間単位に切り上げて換算します。たとえば、1日の所定労働時間が7時間30分であれば、時間単位年休では1日分を8時間として扱います。
7時間30分をそのまま使ったり、7時間に切り下げたりすることはできません。労使協定で1日分の時間数を定める際は、従業員の所定労働時間を確認して正しく設定する必要があります。
時間単位の有給休暇を導入する流れ
時間単位の有給休暇を導入する際は、労使協定の締結から管理体制の整備まで順番に進める必要があります。ここでは、導入から運用開始までの流れを解説します。

1.労使協定を締結して対象者や日数・取得単位を決める
まずは過半数労働組合または労働者の過半数代表者と、書面による労使協定を締結します。協定では、対象者の範囲、年5日以内の取得日数、1日分に相当する時間数、2時間単位などで取得させる場合はその単位を定めます。
業務の性質上、時間単位で休むと事業の運営に支障が出る従業員は対象外にできますが、育児など取得目的による限定はできません。なお、労使協定の労働基準監督署への届出は不要です。
2.取得単位や申請方法などの運用ルールを決める
労使協定の内容を踏まえ、実際の申請から承認までの運用ルールを具体化します。たとえば、申請は何日前までとするか、当日申請を認めるか、申請先や承認者を誰にするかを決めておきましょう。
さらに、申請の変更・取り消し方法、勤怠への入力方法、取得後の残数確認、急な取得があった場合の連絡方法まで統一しておくことで、部署ごとの扱いの違いや処理漏れを防ぎやすくなります。
3.決定した内容に合わせて就業規則を変更する
時間単位の有給休暇を導入する場合は、労使協定などで決めた内容と整合するよう就業規則を変更します。時間単位で付与できる旨や対象者、取得単位などを反映させ、既存の年休規定との食い違いがないか確認しましょう。
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、過半数組合または過半数代表者の意見書を添え、変更後の就業規則を所轄の労働基準監督署へ届け出ます。労使協定自体の届出は不要です。
4.時間単位で有給休暇を管理できる体制を整える
運用開始前に、時間単位で取得した年休を正確に記録できる管理体制を整えます。日数だけでなく取得時間と残り時間を従業員ごとに把握し、年5日の上限や繰越分も区別して管理できる状態が必要です。
勤怠管理システムを使う場合は、申請・承認、残数表示、繰越処理に加え、時間単位の取得分を年5日の取得義務へ算入しない設定になっているかも確認しましょう。
5.取得方法を従業員へ周知して運用を開始する
最後に、対象者、取得上限、取得単位、申請方法などを従業員へ周知してから運用を開始します。就業規則は、職場への掲示や書面の交付、従業員が常時確認できる電子データなどの方法で周知しましょう。
申請画面や入力例をまとめたマニュアルも用意し、管理者には承認方法や残数の確認方法、問い合わせ先まで共有しておくと、開始直後の入力ミスや運用上の混乱を抑えやすくなります。
まとめ
時間単位の有給休暇は、年5日を上限として年休を1時間単位などで取得できる制度です。導入には労使協定の締結や就業規則の変更が必要で、取得時間や残数を正確に管理できる体制も欠かせません。
従業員が柔軟に休暇を取得しやすくなる反面、人員配置や引き継ぎへの影響もあるため、自社の業務に合った運用ルールを整えることが重要です。また、従業員ごとの取得時間や残数など、これまで以上に細かな勤怠管理が必要になります。
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- この記事の執筆者
- 株式会社デジジャパン「タッチオンタイム」コラムチーム
- 受賞歴:
- 「ITreview Grid Award 2026 Spring」勤怠管理システム部門 最高位「Leader」
- 「ITreview The Best Software in Japan 2026」TOP100ランクイン
- 「BOXIL SaaS AWARD Spring 2025」勤怠管理システム部門
- ITトレンド Good Productバッジ 2022












